山登りの魅力って何? 〜登った先に待っている景色たち〜
なぜ人は山に登るのでしょう?
目的は人それぞれですが、なんといってもその魅力は、汗をかいてたどり着いた先で待っている絶景や、季節ごとに違う表情を見せる自然風景でしょう。ここでは、四季折々の山の楽しみと、山で出会える様々な景色を紹介します。
あなたの見てみたい景色を見つけて、その自然に会いに山に登ってみませんか?

春夏秋冬、みんな違って、みんないい
山は春夏秋冬、違う顔を見せます。季節を変えて登れば、色も、形も、空気も、全く違う景色に出会えたり、見たことのない草花に出会えたり、同じ山でも何度も楽しむことができます。
それぞれの季節の山の魅力を紹介します。




山笑う春
「山笑う」という俳句の季語にあるように、春の山では草木が芽吹き、自然界が一斉に目を覚まします。お花見登山はもちろん、太陽の光を透かして輝く新緑も楽しみの一つです。低山から先に春がやってくるため、花の開花に合わせて山を選べば、長く春を楽しめます。
過ごしやすくなる頃ですが、山で風に吹かれるとまだ寒いことも。防寒着を忘れずに持参しましょう。

くじゅう連山きってのミヤマキリシマの名峰。
春には山肌がピンク色に染まり、花に包まれた登山道を歩くことができる。
山頂から望む大船山や三俣山の眺めも素晴らしい。
初心者は坊ガツルを経由するルートがわかりやすい。

こちらもくじゅう連山の一座。
三俣といいますが、大鍋・小鍋と呼ばれる火口跡を囲むように5つのピークがあり、それらのピークを巡りながら登ります。
手前右に平治(ひいじ)岳、左奥に双耳峰の由布岳が見えます。

玖珠町にある万年山は、典型的なメサと呼ばれる台地で、約3㎞続く平らな山頂が特徴的な山です。
初夏には「花畑」と呼ばれる庭園のような群生地にミヤマキリシマが咲き誇ります。
山に涼を求める夏
夏こそ、街の暑さから逃れて山へ。
樹林帯の中を歩ける沢沿いや、滝を見られる山を選べば、暑い時季でも快適に登ることができます。夏の雲と青空、山肌の緑のコントラストも清々しい季節です。無理して山頂を目指さずとも、涼しい森の中でお昼を食べるためだけに山に向かうのも、夏の楽しみです。
熱中症の心配な季節でもあるので、なるべく早い時間に出発し、虫除け対策も忘れずに。

中津市のシンボル八面山は、どこからみても同じ形に見えることから山名がきています。
夏は渓谷を間近にしながら登れる金色渓谷ルートがおすすめです。

吉部(よしぶ)登山口から坊ガツルに向かうルートの途中で少し左に下ったところにある、落差7m、幅15mの滝。
氷瀑となる冬も楽しめます。

久住山や中岳の山頂直下、標高1710mの場所にある火口湖。
かつてここに上宮があったという、常に豊かに水をたたえた神秘的な雰囲気の場所です。
足元まで彩る秋
秋は山が一番色づく季節といえるかもしれません。山肌は色とりどりの紅葉で彩られ、頭上には色づいた木々、足元はカラフルな落ち葉で埋め尽くされ、四方を秋色に包まれます。春の花の開花とは逆で、標高が高い山から紅葉が始まるため、高い山から紅葉登山をはじめれば、長く紅葉を楽しめます。
秋は日没が早くなるため、時間に余裕を持って行動しましょう。

山頂には、神武天皇の祖母である豊玉姫が祀られています。深い谷と森を有する玄人好みの山です。
祖母山と傾山をつなぐ約40キロの祖母傾縦走路は九州の岳人の憧れの道。

九州の岳人の聖地といっても過言ではない、坊ガツルキャンプ場。
四方を山に囲まれ、くじゅう連山に包まれる感覚に。
黄金色にススキが輝く秋がお勧めです。
貴重な動植物が集い、ラムサール条約湿地に登録されています。

くじゅう連山の黒岳山麓にある男池水源の奥には、登山で通り過ぎるだけではもったいない美しい森が広がっています。
かくし水やソババッケなど、1時間前後で行けるところまで、のんびり森を散策してみるのもお勧め。
今だけの楽しみ満載の冬
九州で冬を満喫したければ、ぜひ山へ。そこでは、いつもは見えない姿を見ることができます。木々の葉が落ち、鳥の姿がよく見えます。雪の登山道には動物の足跡が現れます。
雪の積もった山に登る時は装備の準備と、登山口までの道路状況のチェックを念入りに。

冬の星生山山頂からは、凍てついたくじゅう連山の山々を見下ろすとこができます。
山頂では暖かい飲み物を飲んで体を温めます。

冬は山頂直下の御池が凍り、池の上を歩くことができます。
秋は湖面に映り込む紅葉を狙い、多くのカメラマンが訪れます。

色を失った冬の山にまず咲くのは、「まず咲く」ことからその名前が付けられた ともいわれるマンサク。
くじゅう山中を通る九州自然歩道の佐渡窪から山を見上げると、山肌のところどころに光が当たったように咲いています。
いつでも楽しめる絶景の山
季節問わず楽しめるのが、山の上から見下ろす絶景。歩いてしか見られない景色は、汗をかいて登った後のご褒美です。
花もない、紅葉もない、雪もない、どこに登ろう? そんな季節に登ってみてはいかが?

鹿嵐山の地蔵峠では、侵食作用による奇岩がつくりだす景色が広がります。
万里の長城と呼ばれるヤセ尾根を歩いて進みます。

湯布院の温泉街を挟んで、由布岳と向かい合うようにそびえています。
360度の展望の山頂から見る由布岳の眺めは豊後富士そのもの。

牧ノ戸峠から40分ほどで登ることができ、山頂からはくじゅう連山の眺めが素晴らしい。
北に延びる稜線を歩き、上泉水山、下泉水山へ縦走することもできる。
その場合は長者原から遊歩道を1時間半ほど歩き牧ノ戸峠へ戻るか、バスを利用する。