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:2023/12/15 :2023/12/15

山道具を揃えていく過程は、山登りの魅力の一つでもあります。最初に全て揃えてしまうのではなく、一つ一つ吟味しながら道具選びを楽しみましょう。ここでは、選び方のコツや、持っておくと便利な山道具を紹介します。

まずは、家にあるもので登ってみよう!

何かを始めるとき、道具を一通り揃えなければと構えてしまう人も多いのでは? しかし、それが一歩を踏み出す妨げになる時もあります。まずは家にあるもので登ってみて、自分に本当に必要なものを少しずつ揃えていきましょう。

山に登るには何が必要でしょう? まずは靴です。持っているもので登る際は、なるべく靴紐でしっかりと足を固定できるものを選びましょう。靴紐がないものは、中で足が動いてしまい靴擦れの原因となる場合も。靴底が固くしっかりしていると安定感があります。

次はリュックサック。背負えればナップサックでも何でもいいです。ショルダーバックはバランスが悪いだけでなく、動いてしまい体が振られるため避けましょう。 あると便利なのがウィンドブレイカーです。防水であれば言うことなしなのですが、最初は風を防げれば十分です。登山用の雨具を買うまでは、晴れた日の、短時間で登れる山を選びましょう。しかし、風には注意が必要です。どんな季節や天候でも、汗をかいた後に山頂で風に吹かれると、一気に体温が下がります。秋から春先にかけては、風を防ぐジャケットと、その下に着込めるフリースやインナーダウンジャケットを持参しましょう。

いろいろ使えて便利な折り畳み傘

次は、どの家庭にもあるもので山に持参すると便利なものをご紹介します。登山では傘を使うイメージがないかもしれませんが、折り畳み傘があると便利です。展望のいい山頂では日陰がないことが多々あります。そんな時は、日傘として使うことができます。もし山中でもよおした場合、目隠しとして使うこともできます。そしてもちろん雨傘としても。ただし片手が塞がってしまうため、使う場合は平坦な尾根道や林道だけにしましょう。

最近、登山者の間で人気のシルバーコーティングされた晴雨兼用傘。遮熱効果があり、熱中症対策にも。

レジャーシートをあなどるなかれ

レジャーシートは本来の用途ではもちろん、被って雨を避けたり、体に巻いて防寒したりと万能です。山頂で休憩する際、靴を脱いでレジャーシートに上がりゆっくり休むと、足が解放され疲れも取れやすくなります。

四角に紐を通せばいろいろと便利。木に掛けてタープとして使えるほか、ペグを打てば風で飛ばされるのを防げる。

魔法瓶はその名の通り、魔法です

魔法瓶は、特に秋から冬にかけては重宝します。山頂でカップラーメンを食べたり、コーヒーを入れたり、寒い季節に温かいものがあると、素早く体を温めることができホッと一息つけます。なるべくボトル内を保温させるために、湯を入れる際、必ず熱湯でボトルの内側を温めてから入れましょう。保温カバーに入れるなどするとより効果的です。

 右側は登山用のサーモボトル。長時間保温効果を保ちつつ軽量で、手袋をしたままでも開閉しやすい設計。
カップ(左)も二層構造のサーモタイプを選べば冷え知らず!

山道具を揃えるなら、まずはこの三つ!

いざ山道具を揃えようとなったら、まずは登山の「三種の神器」といわれる、靴、雨具、ザックから揃えてみましょう。安全で快適な登山を左右するのは靴。急な天候の変化に対応するには雨具。動きやすさに影響するのがザックです。それぞれの選び方のポイントをご紹介します。

足を守る靴は時間をかけて選ぼう!

登山靴には大きく分けて、足首まであるハイカットとスニーカーのようなローカットがあります。初心者には、足のトラブルを避けるためにもハイカットをお勧めします。足首部分が固定されることで、不安定な登山道で足を守ってくれると同時に、靴の中にゆとりを持たせたまま動かないように固定することができます。防水素材を使ったものを選べば、雨や、沢を渡る場合も安心です。

足をがっちりと固められるのが気になったら、ローカットでも構いません。山を走るトレイルランニング用の靴であれば、ローカットでも靴底はしっかりしていて、安定感があります。日常生活や旅行などでも使えて出番は多くなるでしょう。

靴を選ぶ場合は、足の実寸より1〜1.5cmほど大きめを選びましょう。靴下の厚みも影響するため、登山時に履く靴下を持参するか、靴下も一緒に購入しましょう。

ハイカットタイプ
履く際は、足を踵側にトントンと詰めて、つま先に余裕を持たせて紐を結ぼう。
下りでは足が前にずれてつま先に負担がかかりやすいため、紐をしっかり締め直そう。
ローカットタイプ
靴底が厚く安定感があり、クッション性もあるタイプ。
試し履きでハイカットもローカットもしっくりこなければ、ミッドカットタイプもある。

雨具なしに、防寒は語れない!

雨具は雨を避けるだけでなく、風を避けたり、体温を内側に溜め込んだりする役割を果たします。一般的に、標高が100m上がるごとに気温は0.6度下がり、風速1m/sで体感温度は1度下がるといわれています。晴れていても山の上は街よりも確実に寒いといえます。雨が降っていなくてもザックの中に常備しておきましょう。ただし、雨具だけで保温性を保つことはできません。秋から冬にかけては、雨具の下に体温を保ってくれるフリースやダウンジャケットを着込みましょう。

登山用の雨具は、外からの雨は防ぎ、内側の汗は発散する防水透湿性素材を使用。
たとえ雨を防げたとしても、汗をかいてしまえば体は濡れてしまう。
素材の耐水圧や透湿性の数値によって価格も変わる。自分の登山スタイルに合わせて選ぼう。
脇の部分にベンチレーションの付いたタイプはより汗を外に出してくれる。
フード部分のフィット感も重要。顔からの雨の侵入を防いでくれる。

必要な機能を見極めてザックを選ぼう!

容量やポケットの数、サイズと、登山用具の中で最も種類が多いといえるザック。自分に合った機能を見極めて選ぶことが重要です。ものを出し入れすることが多い人は、ポケットの多いタイプを。ただポケットは、入れたものが落ちたり、木に引っかかったりする心配も。岩場のある山や、藪漕ぎするようなアクティブな山登りをしたいと思う人は、なるべくシンプルなつくりのザックの方が動きやすくなります。

サイドにポケットのあるタイプは、ザックを背負ったまま水筒を取り出すことができ便利。
ただ、ザックの外側にいろいろとぶら下げるのは、引っ掛けて危険な場合もあるため、なるべくなら避けたい。
腰ベルトにポケットのあるタイプは、頻繁に取り出したい日焼け止めや行動食、携帯などを入れられて便利。
ベルトの幅も太くなるため、腰にもフィットしやすい。

あればより快適!より楽しめる!おすすめ山道具

リュックを下ろさず楽々登山

サコッシュ

地図や携帯、行動食など、頻繁に出し入れするものはザックではなく、前掛けできるサコッシュへ。ただし、岩場などが連続する山では邪魔になるのでザックにしまいましょう。

地図や携帯を入れておけば頻繁な現在地確認が可能となり、道迷いも防げる。

メニューを考えるのも楽しい!

バーナー

バーナー一つあれば、山の楽しみは無限大。まずはコーヒーやカップラーメンから始めてみては? バーナーを手に入れると、山でできそうなメニューを考えるだけでも楽しくなります。

ガス缶が入るサイズのコッヘルを選べば荷物を減らせる。
山ではソーセージを焼くだけでも大満足。小さなフライパンは目玉焼き一つのサイズで重宝する。

登山者御用達の水筒いろいろ

ナルゲンボトル&プラティパス

山の水筒で愛用されているのがナルゲンボトルやプラティパス。ナルゲンボトルは高い気密性 を持ち、ボトルにメモリがついているため、山で調理をする際にも便利です。プラティパスは臭いがつきにくく、使用後はコンパクトに持ち運びができます。

左/プラティパス。使い終わったら小さく丸めてザックへ。
右/ナルゲンボトル。広口のため、ナッツなどの行動食入れとしても便利。

鳥と会話できる⁈

バードコール

木と金属棒の摩擦音で鳥の鳴き声に似た音を出し、鳥を呼んだり、鳥と会話したりできるバードコール。想像以上に鳥に似た音が出せるためつい鳴らし続けてしまいますが、鳥にストレスを与えてしまうので、鳴らしすぎないようにしましよう。特に繁殖期である春は控えましょう。

金属棒を回すことで、キュッキュッっと音が出て鳥と会話ができる。

山だけじゃもったいない!こんなに便利な山道具

いざというときは防災グッズになる山道具!

コンパクトで携帯しやすい山道具は、災害時にも役立ちます。ザックの中にフリーズドライ食品や水、ライトなどとともに常備しておけば、いざというときに役立ちます。

左/エマージェンシーシート。
手のひらサイズの緊急用シート。金色の面を外側にすると熱を吸収し保温効果が。
銀色の面を外側にすると断熱効果がある。
右/エマージェンシーコール(中)。
助けを呼びたい時に使用する。
ナイフなどと共にザックの取り出しやすい場所に付けておくと便利。
携帯トイレ。用を足すビニール袋と凝固剤、防臭袋のセット。
山では持っておくだけで安心する。車の中に常備しておくのもいい。

虫除け、虫対策グッズ

季節によって、山は虫との戦いです。黒っぽい服装はスズメバチに襲われやすいため避けましょう。湿気の多い山にはヒルがいる場合も。夏はブヨやアブ などに追われることもあります。虫除けスプレーは必須です。自然素材のものを使えば、山の中でも思い切り使えて、子どもにも安心です。もし刺されてしまったら、なるべく早いうちにポイズンリムーバーで毒を出しましょう。山だけでなく、キャンプや農作業にも使えて一つあると便利です。

左/ポイズンリムーバー。傷口の場所に合わせて吸引口の大きさを選べて便利。
右/山では人にも自然にも優しい自然素材の虫除けスプレーを選ぼう

山道具は旅行にも便利!

山道具を登山時だけに使うのはもったいない!特に旅行時は、ボストンバックやスーツケースではなくザックを使うと、両手が空いて身動きもしやすく身軽に旅を楽しめます。ジャケットや防寒着を、雨具やインナーダウンにして、下着も臭いの気にならないメリノウールにすれば、着替えも少なく済み、普段よりずっとコンパクトな旅に。

ザックでの身軽な旅は、より遠くへあなたを連れていってくれる。
登山用のコンパクトなコーヒーセットがあれば、旅先で見つけた気持ちいい場所でコーヒーを淹れることもできる。