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:2023/12/19 :2023/12/19

今回は、登山靴の履き方から、上り下りの足の運び方まで、楽に安全に登れる山の歩き方をご紹介します。

登山靴の履き方

登山靴は、不安定な登山道を歩く足を守るために、普段履く靴より剛性があります。そのため、間違った履き方をしてしまうと靴擦れや疲れる原因になることも。正しい登山靴の履き方、靴紐の結び方で歩き出しましょう。

足の入れ方

靴紐を緩めて、靴下にシワがよらないように無理なく足を靴の中に入れます。靴と踵の間に隙間ができると、靴の中で踵が動いてしまい靴擦れする場合があります。足は踵側にしっかりと寄せて、靴と踵の間に隙間がないように足を入れましょう

靴紐の結び方

甲の部分から足首までは、緩みがないようしっかりと閉めます。靴の中で足が動くと、上りでは踵が浮き靴擦れの原因に。下りでは足が前にずれてしまい、爪先を痛める場合があります。足首部分は、上りは緩めに、下りではしっかり締め直しましょう。

ハイカットの場合、一つ目のフックは上からかけると緩みにくくなります。

ほどけにくい靴紐の結び方

靴紐が木の根っこなどに引っかかり解けてしまうと、解けた靴紐を踏んで転倒する危険性があります。解けないようにしっかりと結びましょう。登山口を出発して、足と靴が馴染んだ頃に再度締め直すと、しっかりと絞めることができます。最初の休憩時などに締め直してみましょう

一番簡単な方法。蝶々結びでできた二つの輪っかをもう一度結ぶ。
解けにくい結び方。まず、一つ結びをした後、二つの輪っかをつくる。
その二つの輪っかを2回くぐらせて結ぶ。

足の運び方

足の運び方一つで登山は大きく変わります。ポイントは丁寧に歩くこと。丁寧に歩くとは、言い換えるとドカドカ歩かないこと。忍者のように静かに歩いてみましょう。 登山道は石や木の根っこなど、ゆく手を阻むものだらけです。一歩一歩丁寧に足を運ぶことを心がけるだけでも、浮いた石に気づくことができたり、不安定な足場を避けたりすることができます。特に上り始めは、息が上がらない程度に努めてゆっくり登りましょう。

歩幅は狭く、地球を踏むように

登山の基本は小股、ベタ足です。登山靴のソールは、滑りにくいように溝が深くなっています。ソールのグリップ力を活かすためには、足裏全体で地面を踏むように歩くことが大切です。イメージは地球を踏む気持ちで。大股で歩くと踵が浮いてしまい、グリップを効かすことができません。

小股で歩くと自然にベタ足となり、ソールのグリップ力を発揮させることができます。
大股で歩くと、踵が浮き、グリップ力が半減するだけでなく足首やふくらはぎに負担がかかります。膝とつま先の向きを合わせるように意識すると、膝関節のねじれを防ぐことができます。
急斜面での足の運び方

足が滑るような急斜面では、足をガニ股やL字にして歩いてみましょう。斜面との摩擦が大きくなり、登りやすく感じるでしょう。きついと感じたら真っ直ぐに登るのではなく、ジグザグに登ると楽に登れます。

上りの急斜面はガニ股で登りましょう。
ガニ股でも厳しい場合は、L字にしてみましょう。
前の足は真っ直ぐに、後ろ足は真横に。

トレッキングポールは3本目の足

トレッキングポールは、1本使う場合はバランスを取り、2本使う場合は前に進む推進力も補ってくれます。こうして上半身も使うことで全身をバランス良く動かせます。自然を傷つけないために、先端にはゴムキャップを装着しましょう。(岩場や滑りやすい場所では外しましょう)

ポールの長さは、上りでは腕が肘から直角より少し下がるくらいがちょうどいいとされます。一般的に、上りでは短めに、下りでは長めに調節します。登山道の斜度にもよるため調節しながら登りましょう。グリップの持ち方は、上りでは横から、下りではグリップの上部を押さえるように持つと歩きやすいでしょう。ループの通し方には好みがありますが、上りでは手首を下からくぐらせてポールと一緒に握ると、吊り革を持つ感覚で登ることができます。

上りでポールを前につきすぎると、手の力を使い疲れてしまいます。なるべく体の脇につきましょう。ポールの長さも短めに。

斜面をトラバースする場合は、2本のポールを一緒に持ち、山側につきながら通過しましょう。
その際のポールの持ち方。グリップ部分は下から、シャフト部分は上から押さえるように持ちましょう。

事故のほとんどは下山中に起こる。

登山中の事故のほとんどは、下山中に起こるといわれます。疲れが出る時間帯でもあり、上りよりもスピードが出てしまうことも一因といえるでしょう。ポイントは、先に述べたように静かに歩くこと。ドカドカ歩きでは足を痛めてしまいます。特に下りでは視界が広がるため、高度感を感じやすく腰が引けてしまう場合もあります。そうすると、全体重が踵にかかり滑りやすくなります。重心を指の付け根または先端に置くことをイメージしながら真っ直ぐ立ち、踏み出した足を静かに置いて歩いてみましょう。

腰が引けて前のめりになると、トレッキングポールに体重をかけることになり危険です。
踵で着地することにもなり滑りやすくなります。
重心を真下にかけるイメージで、トレッキングポールは体の両脇に突きながら進みます。

ロープ、鎖場の通り方

ロープや鎖が設置してある場所を通過する際は、まずロープや鎖の状態を確認しましょう。木の根っこや岩にひっかかっていないか、切れそうな状態ではないか、使う前に引っ張って 確認しましょう。登る際は一人ずつ。同じロープを二人同時に掴むことのないよう気をつけましょう。岩場を下山する時に怖いと感じたら、前向きに下るよりも、後ろ向きに一歩ずつ足場を確認しながら下る方が恐怖感も軽減し、安全に下ることができます。

ロープや鎖はあくまでも補助として使い、岩なども掴みながら登りましょう。
ロープや鎖だけに頼って登るのは、もしそれらが傷んでいた場合危険です。
岩場での足の運び方

岩場では常にバランスを取れるように三点支持(三点確保)を意識して登ります。両手両足の4点で岩場に取り付いた際、3点は動かさず、残りの1点(手や足)だけを動かして次の手がかりを探します。その際、岩場にへばりつくような体勢を取ると足の力が入れづらく、滑りやすくなるだけでなく、下りでは次の足場が見づらくなります。また、腕の力だけで登ろうとせず、確実な足場を選びなるべく足の力を使って登りましょう。ロープや鎖場、ハシゴを通過する際も三点支持を意識しましょう。