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:2024/03/15 :2024/03/26

2024年1月14日AM8:00。日本野鳥の会大分県支部の1月大野川定例探鳥会の取材で豊後大野市の菅尾石仏駐車場にやってきた。10:00~12:00のイベントなのだが、好奇心と予習の意味で早く来ようと思いながら車を走らせたので、かなり早く着いた。気温は-1℃、周辺には霜が降り、冬を実感するにはちょうど良すぎるくらいの寒さだ。

野鳥の会といえば、年末恒例の某チーム対抗歌合戦で客席審査集計する人というイメージを持つ人もいるのでは?

実際、どんな人がやっているのだろう? どんな活動をしているのだろう?

またとない取材の機会にちょっと張り切り過ぎて、早朝の豊後大野市で冬を満喫することになった。

周辺を散歩しながら待つこと1時間ちょっと。

野鳥の会メンバーと一般参加者が集まった。全員で30人ほど。

双眼鏡や望遠鏡の手入れをして。

大野川定例探鳥会担当の杉浦さんから今日のイベントの説明。

去年のこの観察会では46種類を観察することができたらしい。

日ごろ鳥を意識して観ていないからか、46もの鳥の種類を言えと言われても、ハト、カラス、スズメ、カモメ、トビ…、なかなか言えない。自然豊かなエリアとはいえ驚きだ。

準備が整い。

大野川へ向かう。

川に着く前にも発見が。

電線に大きな鳥が。

鳥の種類をそう知らない私にはトビかと思ったが、ノスリというタカ目タカ科の鳥とのこと。

街中で電線にとまるこのサイズの鳥類はカラスしか知らない。

好奇心がくすぐられる。

あちらこちらから「いたいた」「あそこ」という声が聞こえ、皆さん慌ただしく望遠鏡を向ける。 

望遠鏡を設置し、一般の人に「観て観て!」と声掛けをし、来てもらえたすべての人に満足してもらいたいというスタンス。野鳥の会と運営の人はとにかくみんなすごく優しい。

知らない鳥を観ることができる楽しさは当然あるが、ここにいる人たちと過ごす時間そのものが楽しいのだ。

参加者の中にとりわけ若い人たちを見つけたので、何人か話を聞いてみた。

彼は鳥が好きすぎて、小学校1年生から図鑑でたくさんの鳥をおぼえて、高校1年生の今では多くの先輩方から一目置かれるすごい人。鳥版の“さかなクン”だ。野鳥観察が楽しくて仕方がないとのこと。

彼女は中学2年生。元々生き物が好きだった彼女は、小学生の時に河川敷で聴いたウグイスの鳴き声で心を奪われたのだという。

野鳥の会の方にも話を聞いてみた。

武石さんは若い頃転勤が多い仕事をしていたようで、どこに行っても楽しめる趣味を考え、野鳥観察があらゆる環境や趣味との相性が抜群だという結論に至ったらしい。なるほど、野鳥観察をしようと意気込んで行かなくても楽しめるのか。

せっかくカメラを持っているので、野鳥の写真を撮りたいと思い、狙ってみた。

うーん。

うーむ。

これは厳しい(笑)

野鳥の会の方が別の日に別の場所で撮影した写真をお借りしたので、以下紹介。

オオバン。

オシドリ。

カワセミ。

シジュウカラ。

私は写真を撮りたくてはまってしまいそう。

犬や猫など、愛でることができる生き物が好きな性格なので、遠くから眺めるだけの観察は少しもどかしく感じるのかなと思っていたが、実際に行ってみると印象や考え方が少し変わり、遠くにいる生き物の本来の姿をそのまま眺めることも楽しく感じた。

戻って、何種類を観ることができたのかをみんなで発表。今年は38種類を確認できたのだとか。

2時間ちょうどで終了。

心が豊かになる楽しい観察会。必ずまた参加します。

観察会などのイベントは定期的に開催されています。

 

日本野鳥の会 大分県支部

https://oitabird.web.fc2.com/

 

ここからが大切なお話。

野鳥観察・撮影のマナーについて。

野鳥観察・撮影は誰でも気軽に楽しめます。もっと近くで観たい、良い写真を撮りたい、好きなものを近くに感じたいという気持ちをきっと持つでしょう。しかし忘れてはいけないのは「自然環境に手を加えないこと」です。

野鳥の会の方に、鳥を撮るために自然環境が壊された形跡の写真を見せてもらいました。撮影に邪魔だからと枝を伐採したり、鳥をおびきよせるために、枝に細工を仕掛けたり、餌付けをしたり、水の流れを変えて水場を作ったり、鳥から隠れるためにバリケードを作ったり…。  

私たちは、野鳥たちの生活にお邪魔している立場です。こうした行為は決して行なわず、配慮を忘れないようにしましょう。

さらに、シャッター音やレンズの動きに対する鳥の反応をうかがいながら、常に“鳥との距離感”を考えましょう。

最後に、野鳥の観察・撮影について、野鳥の会のガイドラインを以下にまとめます。

 

【野鳥の観察・撮影について】

  1. ストレスを与えないように野鳥との距離を取る
  2. 営巣中、育雛中の野鳥や巣には近づかない
  3. 音声による誘引はしない
  4. 餌付けによる誘引はしない
  5. 撮影時にフラッシュ・ストロボを使用しない
  6. 立ち入り禁止場所への侵入はしない
  7. 私有地には侵入しない
  8. 公園等公共の場でマナーを守り、他利用者へ配慮を行う
  9. 規則に基づいた駐車を行う
  10. 他の観察者・撮影者へ配慮する
  11. プライバシーを守る

【画像・映像・情報の公開について】

  1. 営巣中等の写真や映像をSNSなどで公開しない(野鳥の生態を知らない方が営巣場所に詰めかけ、繁殖の放棄や早い巣立ちに繋がり野鳥の繁殖行動に悪影響を及ぼす可能性があるため)
  2. 写真コンテストへの応募はマナーを守った写真を送る
  3. 詳しい撮影地は公開しない
  4. 餌付けによる誘引はしない

【その他気をつけたいこと】

  1. 植生へのダメージに配慮し、環境の改変に注意する
    (希少な植物を踏みつけたり、作物を植えている畑に侵入する事例も発生しています。三脚を立てる位置の配慮はもちろん、歩道や観察路から外れないようにしましょう)
  2. ウイルスの拡散に気をつける
    (高病原性鳥インフルエンザや豚コレラ等が発生した場合、靴の裏に付いたウイルスを意図せず拡散してしまう可能性があります。感染症が流行っている時は感染を拡大しないように注意し、可能であれば靴の裏や車のタイヤの消毒を行いましょう)

ガイドラインの詳細・楽しみ方、最新の情報は
公益財団法人日本野鳥の会ホームページでご覧ください。
https://www.wbsj.org/