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:2024/03/29 :2024/03/29

豊後大野市の山奥にある廃校を利用したサウナ付きの宿泊施設が人気なのだそうだ。

自然保護を題材とするホームページなので、取材はどうなのかなと思っていたが、たくさんの自然保護関連の取材を行う中で、廃校を利用した施設には地域や自然と深く関わっているものが多い傾向に気付いた。

さらにこのサウナがある宿泊施設「LAMP(ランプ)」は、

祖母・傾・大崩ユネスコエコパークエリア内にあり、これ以上ない自然の中でサウナを満喫できるのだとか。サウナにも入ってみたいので取材をお願いしてみた。

春までもう少し。フィンランド式サウナという響きとこの季節の豊後大野市緒方町の山の中はなんだかしっくりくる。

しかし、想像していたよりも山の中(笑) 道中の道は少し狭く、注意が必要だが、左右には自然がいっぱいで退屈しない。自然といえばくじゅうエリアに視線を向けがちだったが、豊後大野を忘れてはいけない。

豊後大野の市街地から1時間ほどで到着。

フォルムは確かに学校なのだが、見事な改修で、高級リゾートのような佇まい。

今までに見た廃校を使った施設とはちょっと違う。

中に入ってみる。

サウナだけではなく、メインは宿泊施設なので、来る人を喜ばせるカスタマイズがすごい。元が学校だとは思えないおしゃれな内装。

支配人の高橋さんが接客中だったので、待ちながらスタッフの方に話しかけてみた。

茅野さん(若い)。

なんでこんな若い人が山の中に…? 聞いてみた。

広告営業で日本中を動き回っていた元営業マン。福岡の都市圏出身で元々自然への憧れが強かったのだそう。行く先々で自然に触れるにつれて想いが募り、ここに来た時に想いが形になったのだとか。地域おこし協力隊の活動を経て働いている。

しっかりしている…。目標や生き方が真っ直ぐだ。

以前は横浜の物流会社で働いていたが、やはりここに魅せられてやって来たのだとか。

若くて良い顔で笑う。

そして、

支配人の高橋さんとお話。

聞きたいことが多すぎるが、何より一番聞きたかったことは「なんでここなん?」という疑問。最高に自然豊かな環境ではあるが、豊後大野の市街地から1時間ほど。スタッフや資材、経営の面から考えてもかなりハードな環境であると感じる。

いきなりここでというのは、…あまりにも勇者だ。

話を聞くと、この施設は長野県の野尻湖湖畔を拠点にした株式会社LAMPのいわゆる大分支店(あってる?)なのだとか。野尻湖、壱岐、そして豊後大野の3つを運営しているのだそう。

高橋さんは、茨城県出身で元々はWeb制作会社で働いていた。当時は雑誌編集、Web編集、地方創生のイベントなどを行っていたが、廃校で宿泊+サウナの施設を運営するなんて想像もしていなかったとのこと。会社から事業ごと独立する形で長野県信濃町に勤務先が変わり、その会社が野尻湖で宿泊施設を始めて、大分で色々していたら会社から廃校でLAMPをやってくれないかと言われて、やってみたくて移住してきたのだという。

これだけだと普通の転勤のように聞こえるが…。

高橋さんは「BRIGHT UP LIFE(人生を明るく)」という会社のコンセプトを大切にしながら活動している。自然と共存しながら、来てくれる人はもちろん、働く人、さらに関わる人全ての人生を豊かにし、“やさしい世界”をつくることを目的としているのだとか。

確かにそれを実現するには最適な場所なのだろう。 転勤というよりは強い意志で動いている。

大きくやさしいコンセプトを持つので自然や環境の意識が高い。

・椅子、テーブル、カウンターなどは、無駄を減らしつつ自分たちで手作り
・サウナは廃材を使ってリビルド
・カーボンニュートラルを考え、サウナは薪を使用。
・CLT環境配慮を行っている
・シャンプーは環境にやさしいものを設置

自分さえよければ…という発想はここにはない。

屋内のカフェレストランで提供する食事も丁寧に作る。自分たちで作った無農薬米を提供し、食材もなるべく大分県内で新鮮なものを仕入れて使う。食べる人に喜んでもらうことを第一に考え、気持ちを込めて手間をかけ…、しかも環境にもやさしい。まさに“やさしい世界”。

とはいえ…。

経営的な心配(余計なお世話だが…)も聞いてみた。

答えは田舎の人と都会の人の価値観の違いにあった。

メインのお客さんは関東・福岡・熊本あたりの都市圏在住の人たち。田舎への憧れが強く、日常の喧騒を離れ、自然に包まれるという非日常の中でサウナ、トレッキング、アロママッサージ、ヨガ、ピラティスなどを楽しむのだとか。あとは登山客や渓流釣りのお客さんもやって来るそうで、普通に運営できているのだそう。

頭で理屈はわかるけど、それをこの場所で実現することはすごい。

まだまだ気になることが多すぎて話をしているだけで終わってしまいそうなので、最後にまだ来たことがない人に伝えたい魅力を聞いてみた。

「ここに来て何もせず、本を読んでコーヒーを飲む。木の揺らめきを見て、においを嗅いで、葉っぱの音や鳥の声に耳を澄ます。何もしないことを楽しんでもらうことがおすすめです」という回答。

思えば、スマホから目を離して考えたり想像したりする時間って1日にどれくらいあるだろう。情報が多すぎると、考えたり想像したりする作業ですら、たくさんの情報の影響を受けすぎて自分の結論じゃない答えにたどりつくこともあるな。

自分を取り戻すために、たまにはリセットも必要だから、そんな時にはここに来るといいかも。

そして、ついに…。

サウナへ。 魅力たっぷりの施設なので、できれば自分の目で見て欲しいからさらっと写真で紹介。

入ってみる。

日本の昔からよくあるサウナとはかなり違う。日本式は高温低湿なので、からっとしてとにかく暑いイメージ。おじさんが真っ赤になって座っている光景が目に浮かぶ。フィンランド式は低温多湿。長い時間体の芯まで温めるのが特徴だ。

体が温まったら、水をかぶったり、テラスでくつろいだり、プールで泳いだり(ここは学校っぽい)。思いおもいにくつろぐ。

最近忙しかったからか、とても幸せな時間。

サウナの良さを文面で伝えることは難しいので、気になったら行ってみて。

詳しくは

LAMPホームページ
https://lampinc.co.jp/bungoohno/

で、ご確認を。

都会の人は田舎に憧れ、田舎の人は都会に憧れる。人間の心はなかなか難しい(笑)

無いものねだりが過ぎると、持っているものの良さを見出せないことが多い。

何もないのではなくて、自然という価値あるものを信じて守っていくことが、自然保護や産業、雇用に繋がるのだろう。

田舎のあたりまえを守ろう。