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:2025/03/24 :2025/03/23

大分県の海といえば豊後水道。
太平洋からの黒潮の暖流と、栄養豊富な瀬戸内海の寒流が激しくぶつかり合うこの海域は、年間を通じて水温の変化が少なく、餌となるプランクトンも豊富で、海の生き物にとっての楽園。釣り人にとっても素晴らしい釣り場なのだ。
当然のように釣りを趣味とする人も多いが、興味があるけれどルールやマナー、仕掛けや釣り場などがわからずに二の足を踏んでいる人も多いはず。
また、釣りは自然や漁業を営む人のテリトリーで楽しむもの。マナーが悪化すれば自然を汚し、その場所で生計を立てる人にも迷惑をかけてしまう。今ある自然を守れるよう、今ある楽しみを守れるよう、釣りにおける“大切なこと”をこれから釣りを始めようと考えている人に伝える目線で紹介できればと考えた。

何においても頼るべくはその道のプロ。

先日取材でお伺いしたおおいたかわまちリバーフェスタで釣り体験イベントを行っていた「釣り具のイヴ」の園田さんにお話を伺った。アウトドアに関わる人全般に言えることなのだが、自分の行う業務に対する熱量がすごい。熱心に想いを伝えて関わった人を楽しい気持ちにさせる才能の持ち主。

園田さんは祖父の代から続く「釣り具のイヴ」の3代目。生まれた時から当然のように釣りや魚、釣り具に囲まれて育ったスペシャリスト。先代までが行っていた商売やコミュニティを守りつつ、インスタグラムやユーチューブを通じて、自店だけではなく釣り業界自体を盛り上げようと釣りに関わる発信も行っている。他にも自ら遊漁船の舵を操り、全国でも珍しい海上保安庁と連携した安全意識の向上に向けた勉強会やセミナーを開催するなど、その活動の幅は広い。

釣り具のイヴ インスタグラム
https://www.instagram.com/ivu1091/

平日の朝から昼までの取材…だったのだが、営業時間中とあって、お客さんの対応もあり、取材は一旦休止。先代の頃から店にやって来るお客さんたちとのことなので、せっかくなので、釣りの楽しさやマナー・ルールについて話を聞いてみた。

一人目はリールの修理で訪れた男性。

「釣っちゃいけないところで黙って挨拶もしないで釣っている人が最近増えたなー」とか、「堤防を汚さない方法で行う釣りを最近では楽しんでいる」とのこと。釣り人が増えて業界自体が盛り上がることには否定的ではないが、釣り人の雰囲気やコミュニケーションが昔に比べて変わってきたそうだ。マナーについては別の記事にて紹介するが、人に聞かないとわからないことも多いので、もっと挨拶や会話をした方がいいのになと。

二人目は人懐っこいずっとガキ大将風の男性。

元々は遊漁船の船長をやっていたが、いい年になったからと陸に上がり、川釣りやすっぽん取り、ワカサギ釣りなどを行っている。

彼にとって年齢とは何なのだと思うくらい元気で生き生きしている。どうやら川釣りを行う人たちの中でも有名人らしく、彼の捕るすっぽんは質が良いと料亭などから喜ばれているらしい。いつも自然の中にいるからか、環境の変化には敏感で、工事の影響があって○○川で▲▲が捕れなくなってきたのかもしれないとか、■■川の水質が良くなって、どんな生物が増えたとか。川漁師としての環境へのアンテナを常に張っている人だった。

他にも数人にお話を聞かせてもらったが、大切なことはコミュニケーション。何が釣れたと楽しみを共有し、自然の中で世代を超えた友だちを作り、自然や漁場の環境を守るための知識やマナーを伝授し交換する。

何人も話をしてみて、釣り人には面倒見が良いやさしい人が多いのかなと感じた。

嵐が去るようにみんなが釣りに出掛け、やっと取材開始。

 

釣りが教えてくれること【02.大分県の自然と魚】へ続く。